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中国「超生児」の運命(1)

2012年08月18日
中国「超生児」の運命(1)

 

【新唐人2012年08月19日付ニュース】「超 生児」とは現代中国大陸で使われている言葉で、1970年代から中国で実施されてきた「計画生育政策」に伴って生まれた言葉である。日本語では「一人っ子 政策」と訳されているが、実はそうではない。中国当局の「計画生育政策」によれば、子供を生むのは一人だけと制限するのではなく、場合によって二人或いは もっと多く生むことも可能である。例えば、都市戸籍を持つ漢民族夫婦の場合、子供を一人以上生むことは許可されないが、多くの農村戸籍を持つ人や少数民族 は、夫婦がともに一人っ子の場合は二人或いはもっと多く生むことが許される。「超生児」とはこの「計画生育政策」に違反して生まれた子供のことである。

 
一 般人にとって、生きる道が如何に困難でも、それはすべて自分の天命であり、その中には良いことも、悪いこともあり、楽しいこともあれば、苦しいこともあ る。しかし、「超生児」にとっては、母胎で受精卵として生命が生まれたその日から、天命のほかにもう一つの運命が人為的に、強制的に加えられる。しかし、 この運命には悪運しかなく、母胎にいる時はいつ殺害されるか知れず、仮に無事に生まれたとしても生命の保障はなく、生命が保障されたとしても正常人と同じ 待遇は受けられず、戸籍登録、学校教育、土地の割り当てなど様々な問題に直面しなければならない。「超生児」の両親は、家屋を壊され、土地を没収され、財 産を没収され、公務員から除名され、投獄されることさえある。この人為的に加えられた運命を変えるには、ただ一つの方法しかない。巨額の「社会扶養費」を 払うことである。
 
巨額の「社会扶養費」
 
こ の「社会扶養費」は、昔は「超生罰金」と言ったが、この言い方はあまりにもイメージが良くないため、中国政府は世界貿易機関(WTO)に加入するため、そ れを「社会扶養費」と変えたのである。表面的には国民の生育権利を尊重するように見えるが、実は「超生児」家庭に対する罰金である。このいわゆる「社会扶 養費」がどれほどの高額か。ここに例をいくつか挙げる。
 
浙 江省瑞安市塘下鎮の陳さん夫婦は1995年に長男が生まれ、2012年2月にまた計画外の女の子が生まれた。女の子は「超生児」として、「社会扶養費」を 払わなければならない。瑞安市計画生育部門は陳さんに130万元(約1,630万円)の「社会扶養費」を徴収することにした。
 
陳 さん夫婦は複数の企業を所有しており金持ちだったので、130万元の罰金を払うことができた。この地域では、100万元以上の罰金を受けた人は陳さんの他 にも数人いる。例えば、包さんは2007年に101万元、ある工場長は2008年5月に102万元、林さんは2008年に110万元、王さんは2009年 に109万元、万さんは2012年4月に125万元払った。これらの人達はすべて工場長や大手企業の社長で、お金があるので罰金を払うことができた。
 
中国の計画生育政策によれば、夫婦が法律に違反して子供を生んだ場合や未婚者が子供を生んだ場合、計画生育部門は「社会扶養費」を徴収するが、罰金の金額は夫婦二人の収入により計算する。具体的に言えば、子供1人を超生する場合、「社会扶養費」は収入の2倍から4倍になるが、夫婦二人の分を合わせると4倍から8倍になる。子供二人を超生する場合、二番目の子供に対する「社会扶養費」は一人目の「社会扶養費」の倍になる。しかも、いつも最高金額を「社会扶養費」として徴収する。
 
地方の「社会扶養費」の徴収基準は、国の政策によって各地方政府が決め、各地で実行するため、地方ごとにかなり異なる。同じ「超生児」でも、地方や両親の身分によって罰金の金額はかなり違ってくる。
 
2009年12月21日、中国青年政治学院法律部の助教授・楊支柱さん夫婦は二人目の子供を生んだ。北京市の政策によれば、楊さんは「超生児」を生んだため年収の9倍の罰金を払わなければならない。楊さんは24万元(約300万円)の「社会扶養費」を払った。
 
実は、中国は「法治」の国ではなく、「人治」の国だ。法律があっても賄賂を使い「裏門」を通れば何でも変えられる。「社会扶養費」も同じく、「裏門」を通れば安くなる。どれぐらい安くなるだろうか。
 
河南省新卿市の計画生育部門のある幹部は次のように話した。「子供が生まれる前に、平素から村の計画生育部門の幹部と親しくなり、子供が生まれた後賄賂を贈れば、罰金の金額は『相談』することができる。場合によって一万元、或いはもっと安くなる可能性もある」
 
これらの「超生児」は、不幸な待遇を受けるが、親が金持で、能力があれば、人為的な運命を免れ、それからの人生は自分の天命に従って生きて行くことができるが、両親が貧乏で、能力のない「超生児」はどうなるだろうか。
 
逃走
 
最近、中国のネット上で2~3才ぐらいの幼い子供たちが紐で腰を窓の格子に結び付けられている写真を目にした。
 

 

 

 (ネット写真) 

 (ネット写真) 

 (ネット写真)

 

こ れらは浙江省海寧市丁橋鎮金陽村の正方煉瓦工場で働いている農民工の子供たちである。家は工場から約百メートル離れたところにあるが、両親は朝4時から午 後6時まで働いている。面倒を見る人がいないため、このように縛り付けられている。幼い子供達は毎日10時間以上一人ぼっちになり、昼ご飯を食べる時だけ 親が来てご飯を食べさせたり、水を飲ませたり、オムツを替えたりする。
 
さ らに読んでいくと、子供達は皆「超生児」で、親達は「社会扶養費」を払えないため、仕方なく故郷を後にして、ここに逃げてきて農民工になったという。農民 工達には「超生児」の子供が多く、多い人は6人、少ない人でも2人おり、生活はとても貧しい。毎日10時間以上働いても、月収は1800元(約 22,000円)しかない。幼稚園は付近に一つあるが、一学期の学費は1950元、年間では約4000元もかかるため、農民工にとっては高すぎる。学校に 行く年齢になっても、「超生児」は戸籍登録ができないため、地元の小学校も受け入れない。この付近の煉瓦工場はみなこのような状況であるという。
 
これらの子供達とその家族は社会的には憐れだが、生きているだけましで、まだ幸運と言えるかも知れない。「社会扶養費」を払えず、逃げることもできない人の運命はどうなるのだろうか。
 
(続く)
 
 
(高峰一)
  

 

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